片口

器作りの仕事の中で最も楽しい場面は
片口(かたくち)に向かい合っている時だ。
片口とは鉢やどんぶり型で取っ手がなく一方に
注ぎ口の突き出しているもののことをいう。
本来は油や酒など台所用具として小さな容器に移すのに使われるが
茶道では唐津焼の小ぶりのものを侘びの茶碗として用いる。
そんなに売れるものではないが椀や皿を作るときにも
必ずこの片口を一つ二つ作ってしまう。
私の片口の特徴は一木で刳りぬいて形作る手法である。
産地の作り手は椀のような形を作り口もとの部分は後付けする。
この手法だと器と口元のフォルムが限定されてしまう。
私は素材を見せることもあり一体となった器のスロープにこだわっている。
本日も半端な時間があり片口の塗り仕事にかかわってしまった。
一人でこの片口に好みの酒を入れ飲むこともある。
仕事は楽しい!
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